診療科のご案内

小児外科

小児のあらゆる外科疾患(心臓、脳神経、骨以外)に対応します。

ご挨拶

小児外科部長
国際医療福祉大学医学部小児外科学主任教授

渕本 康史

国際医療福祉大学小児外科へのホームページを訪問していただき、ありがとうございます。

小児外科は新生児から16歳未満の心臓・脳神経外科以外の外科疾患の治療を行っております。一般的には鼠経ヘルニア(脱腸)、停留精巣、臍ヘルニア、虫垂炎などの治療が多いです。より専門的な疾患として①頭頸部の種々の先天性瘻孔、②漏斗胸、鳩胸などの胸壁疾患、③肺、気管などの先天性呼吸器疾患、④胃、小腸、肝臓、大腸などの消化器疾患、⑤腎臓、膀胱、尿道、精巣、子宮、卵巣、膣などの泌尿器生殖器疾患を対象として治療を行っております。
子どもは成長・発達する存在であり、特有の身体的、生理学的特徴を持ち合わせております。
私たちは子どもの特性を常に念頭におき、子どもの成長発達を考慮して、高い技量を的確に手術を行う必要があります。生命を救うだけでなく、将来の生活の質(QOL)の向上を考慮した患者さん一人一人に適したテーラーメイド型の治療を心がけていきたいと思っています。また、地域医療との連携が、大学病院診療科においても重要なポイントであります。当教室においては、外来診療日以外でも対応が必要な患者さまを受け入れることはもちろんのこと、急患は24時間対応できる体制で地域医療との連携を図っていきます。

特長

小児外科疾患の幅広い経験を持つ医師

当科は、新生児から15才まで小児における外科的疾患(循環器系、脳神経系、整形外科を除く)に対する診療を担当しています。成人で扱う疾患といえば、多くは「悪性疾患」や「循環器系疾患」ですが、小児外科の扱う疾患の領域は多岐に渡り、その多くが希少疾患です。当科では、東京都立小児総合医療センターや国立成育医療研究センターなどの日本を代表する小児のhigh volume centerで実績を積み、あらゆる小児外科疾患に精通する専門医・指導医が責任をもって治療にあたります。

子供たちに負担をより軽くできるように

手術をすること自体が、子供たちやご家族には大きな身体的・精神的ストレスとなります。そういった負担を少しでも軽くできるよう、日々新しい知見を取り入れ、常に時代のニーズに合った最善の治療を目指します。手術創をより小さくする「低侵襲治療」を念頭に、様々な疾患で積極的に腹腔鏡手術を行っています。

(内視鏡による低侵襲手術を積極的に導入している手術)
そけいヘルニア、腹腔鏡下外そけいヘルニア根治術(LPEC)、臍ヘルニア、虫垂炎、単孔式経臍腹腔鏡補助下虫垂切除術(TULAA)、腸閉塞、噴門形成術、気胸など

子供を取り巻くすべての方々と共に~より良い小児医療を~

院内においては、小児科をはじめ、各科の医師とスムーズに連携し子供の病気を総合的に診療できるシステムが構築されています。また、近隣小児科とも密に連携しながら、24時間・365日、いつでも迅速に対応するよう心掛けております。

5F病棟の窓に広がる屋上モニュメント

5F病棟の窓に広がる屋上モニュメント
地域の皆様と常に密な連携を

24時間・365日、近隣の小児科と密に連携しながら、夜間・休日を問わず迅速に対応するよう心がけます。

主な対象疾患

年齢

新生児、乳児期、15歳までの小児、小児外科に関連した疾患を持つ16歳以上

疾患

一般的な疾患(そけいヘルニア、臍ヘルニア、陰嚢水腫、精索水腫など)、新生児疾患(先天性食道閉鎖症、先天性横隔膜ヘルニア、先天性十二指腸閉鎖、鎖肛などの先天性疾患)、乳児期以降の疾患(先天性食道狭窄症、先天性嚢胞性肺疾患、食道裂孔ヘルニア、胆道閉鎖症、先天性胆管拡張症、ヒルシュスプルング病など)、小児腫瘍(神経芽腫、Wilms腫瘍、肝芽腫、奇形腫など)など

頻度の多い一般的な疾患

鼠径ヘルニア(脱腸)、臍ヘルニア、陰嚢・精索・ヌック管水腫、停留精巣、移動性精巣、急性虫垂炎、腸重積、肥厚性幽門狭窄症、肛門周囲膿瘍(痔瘻)、便秘など

新生児疾患

食道閉鎖症、横隔膜ヘルニア、腸閉鎖症、腸回転異常、新生児胃破裂、直腸肛門奇形(鎖肛)、ヒルシュスプルング病、胎便性腹膜炎、総排泄腔異常、腹壁破裂、臍帯ヘルニア、仙尾部奇形腫など

乳児期以降にみられる疾患

食道狭窄症、食道アカラシア、先天性嚢胞性肺疾患、胃食道逆流症、メッケル憩室、大腸ポリープ、消化管重複症、胆道閉鎖症、胆道拡張症、気胸、漏斗胸、包茎、陰唇癒合、尿膜管遺残、尿道下裂、膀胱尿管逆流症、外傷、頸部瘻孔、異物誤飲など

小児腫瘍

リンパ管腫、血管腫、卵巣嚢腫、Wilms腫瘍、肝芽腫、神経芽腫、奇形腫、精巣・卵巣悪性腫瘍、横紋筋肉腫、乳腺腫瘍など(悪性腫瘍に関しては強力な化学療法が必要なので現在体制を整備中です。リンパ管腫、血管腫の経験は豊富で、現在治療可能です。)

頻度の多い疾患に対する当科での取り組み

1.鼠径ヘルニア ~LPEC法の導入~

お腹の中にある臓器 (小腸や大腸、女児であれば卵巣や卵管)が飛び出して、鼠径部 (足の付け根)や陰嚢部が腫れたり萎んだりするのが繰り返される病気です。珍しい疾患ではなく、子供の1~5%に発生すると言われています。生後6ヶ月頃となると自然治癒する可能性が少ないため、原則的に手術を行う方針としています。また、6ヶ月未満であっても嵌頓 (飛び出した腸がはまり込んで元の位置に戻らなくなり、はまり込んだ腸の血の巡りが悪くなってしまう状態)が起こってしまった場合などは、早期に手術を行うこともあります。

当科では、従来の手術方法 (従来法)に加え、積極的に腹腔鏡手術 (LPEC法)を取り入れております。従来法でも、鼠径部の創は1。5cm程度と小さく、全く目立ちません。腹腔鏡手術の創は5mm程度でさらに小さく、身体への負担も非常に少ないです。
また、陰嚢水腫などに対しても積極的に腹腔鏡手術を取り入れており、良好な成績をおさめています。

鼠径ヘルニア(左)従来法 手術創

鼠径ヘルニア 腹腔鏡手術 画像1

鼠径ヘルニア 腹腔鏡手術 画像2

鼠径ヘルニア 腹腔鏡手術 手術創

2.臍ヘルニア

生まれて間もない時期には、まだおヘソの真下の筋肉が完全に閉じていないため、泣いたりいきんだりして、お腹に圧力がかかった時に、腹筋のスキマから腸が脱出して、ヘソの皮膚が飛び出してくる状態を臍ヘルニアといいます。2歳までには何もしなくても9割前後が自然治癒すると言われていますが、治癒しなかった場合や皮膚が緩んでヘソが飛びだしたままになっている場合は手術が必要となります。

当科では、ヘソに小ガーゼ球を挿入して絆創膏で固定を行う圧迫療法を推奨しています。これにより、自然経過よりも短期間に、95%以上の治癒率を期待でき、皮膚の緩みも少なくすることができ、良好な成績をおさめています。

1歳半頃までにヘルニア門が閉鎖しない場合はできるだけ綺麗なお臍を目指して手術による臍形成術も積極的に行っております。

臍ヘルニア 圧迫療法前

臍ヘルニア 圧迫療法後

3.急性虫垂炎

大腸の一番口側にある盲腸の先についている虫垂に最近の感染を起こした状態です。頻度としては小・中学生に多くみられます。症状は右下腹部痛が有名ですが、症状の出方は様々です。

抗生剤の内服や点滴での治療で終わることもありますが、最終的には手術が必要になることが多く、症状によっては緊急手術を必要とすることもあります。当科では腹腔鏡手術を積極的に取り入れており、症例によってはヘソの創のみで手術を行う単孔式腹腔鏡手術も行っています。さらに、腹腔内にガスの注入(気腹)をせずにヘソの創部から虫垂を引き出して虫垂切除を行う『吊り上げ単孔式腹腔鏡手術』という、最も負担の少ない手術も積極的に行っています。

吊り上げ単孔式腹腔鏡下虫垂切除術 画像

4.漏斗胸

胸骨下部を中心とした胸部の陥凹を示す疾患です。原因は不明とされていますが、肋軟骨という部分が過剰に成長してしまうことで起こるとも言われています。胸郭の変形は自然に改善することは少なく、年齢とともに変形が進んでしまうこともあります。心臓や肺の圧迫の影響で胸痛や労作後の呼吸器症状などを呈することもあります。また整容面を気にして内向的になるとの報告もあります。以上の事項を総合的に考慮して、十分に説明をした上で治療を選択いたします。

手術としては、Nuss(ナス)手術という低侵襲な手法がひろく行われており、当院でもその方法を採用しています。左右の腋窩に3cm程度の切開を加え、そこから細長い金属のバーを挿入して胸骨の裏に沿って留置するという方法です。バーは2~3年間留置したのちに抜去します。また、術後の疼痛に対しても硬膜外麻酔チューブや患者管理鎮痛法(PCA)など麻酔科と議論しながら積極的に疼痛管理を行っております。

漏斗胸 術前CT画像

漏斗胸 外観(術前)

漏斗胸 外観(術後)

5.尿道下裂

尿の出口が陰茎の先端(亀頭先端)までとどかずその手前に出口が開いています。亀頭部手前のくびれあたりから、高度になるとおちんちんのつけねや陰嚢に出口がある場合があります。おちんちんは下向きにおじぎした形をとります。
幼児・学童期では立っておしっこをする時に尿が下向きに飛ぶために男子トイレでの排尿が難しくなります。また、成人期では勃起時に陰茎が下向きに曲がって性行為が困難になる場合があります。

小児泌尿器疾患のうち、停留精巣、包茎、水腎症、尿失禁、膀胱尿管逆流なども積極的に治療しております。小児泌尿器疾患の中でも尿道下裂は非常に繊細で難度の高い手術であり、術後も作った尿道の途中から尿が漏れる(尿道皮膚瘻)、尿道が狭くなり、おしっこが出にくくなる(尿道狭窄)などの合併症の頻度が少なくありません。自治医科大学小児泌尿器科と連携して手術、術後管理を行っております。

尿道下裂 術前の画像

尿道形成

完成図

高度な技術を必要とする小児外科疾患に関しまして

新生児外科や小児がん外科治療には,専門性の高いスタッフの連携が必要不可欠となります。また、高度な技術を必要とする希少疾患に対する手術などに対しては,当科部長の渕本が現在まで勤務してきた東京都立小児総合医療センター、国立成育医療研究センターならびに慶應義塾大学での経験を活かし常に先端かつ安全な治療を提供いたします。また現在でも上記の3施設とはカンファレンスや臨床研究などで密接に連携しております。特に、新生児外科疾患(先天性食道閉鎖症、先天性横隔膜ヘルニア、十二指腸閉鎖、腸閉鎖など)ならびに先天性胆道拡張症、胆道閉鎖症(葛西手術から肝移植にいたるまで)、先天性嚢胞性肺疾患、直腸肛門奇形(鎖肛)、ヒルシュスプルング病などの手術実績が豊富です。また、今後は近隣の千葉大学、筑波大学、東京女子医科大学八千代病院ならびに千葉県立こども病院などとも積極的に連携していき、最善の治療を提供させていただきたいと思っております。

代表的な研究

再生医療

小児外科部長の渕本教授は、国立成育医療研究センターと共同で、再生医療を小児外科に応用する研究を進めてきました。(「先天性食道閉鎖症術後吻合部狭窄に対する自己口腔粘膜シート移植による再狭窄予防(AMED研究)」)
これは、先天性食道閉鎖の術後の多くの場合で、切除部分をつなぎあわせた吻合部が狭くなることに対する治療法の開発です。
患者様自身の口腔粘膜から組織片を採取して、特殊な培養によって粘膜上皮細胞シートを作製します。その術部に内視鏡的にこれを移植して、狭窄を予防するというものです。こうした患者様を対象に、粘膜上皮細胞シートを移植する治療法の狭窄の予防効果と安全性を評価するために治験を行っています。

先天性食道閉鎖症吻合部狭窄に対する食道シート移植

先天性食道閉鎖症吻合部狭窄に対する
食道シート移植

【その他再生医療をテーマとした研究】

  • ES細胞(胚性幹細胞)から作成した軟骨でのパッチグラフト移植

未熟児/新生児医療の進歩にともない、先天性気管狭窄症や先天性声門下狭窄症児の生存率が上昇しているが、いまだ手術リスクは高く再狭窄の問題もある。また、重篤な合併症のある児に救命のために行われた気管内挿管が長期に渡り、後天性の声門下狭窄や挿管孔閉鎖不全を来すことがある。
臨床で使用できるヒトES細胞の樹立は国内では京都大学、国立成育医療研究センターの2施設のみである。国立成育医療研究センターはヒトES細胞(SEES)由来肝細胞のヒトへの移植を世界初で行っている(https://www.amed.go.jp/news/release_20200521.html)。最近、SEES細胞を分化誘導して軟骨の分化誘導にも成功している。国立成育医療研究センターとの共同研究にて、現在ヒトES由来軟骨を用いて小児気道狭窄に対する新規治療の臨床研究をおこなうべく研究をおこなっている。

ES細胞(胚性幹細胞)から作成した軟骨でのパッチグラフト移植

小児腫瘍免疫療法

進行神経芽腫や進行肉腫に対しては、早期から転移している症例が多く、一定の効果が確認された後でも、患者様の体内にまだ残っているがん病変、微小残存病変(MRD)による再発が課題となっています。
これは化学療法、手術、放射線療法では根治治療はむずかしく、これに替わるものとして現在免疫療法が注目されています。小児外科部長の渕本教授は、慶應義塾大学と共同研究(「免疫チェックポイント蛋白を標的とした小児がん腫瘍幹細胞・微小転移細胞の増殖抑制」文部科学省研究補助金基盤B)を進め、ある程度の基礎的な結果を出しています。

直腸肛門奇形(中間位・高位鎖肛)

移行期・成人期のQOL向上に関する調査研究
厚生労働省(難治性疾患政策研究事業)田口班(研究リーダー)

小児嚢胞性肺疾患

呼吸器系先天異常疾患の診療体制構築とデータベースおよび診療ガイドラインに基づいた医療水準向上に関する研究
厚生労働省(難治性疾患政策研究事業)臼井班(分担研究者)

免疫療法

進行神経芽腫や進行肉腫に対しては、早期から転移している症例が多く、一定の効果が確認された後でも、患者様の体内にまだ残っているがん病変、微小残存病変(MRD)による再発が課題となっています。
これは化学療法、手術、放射線療法では根治治療はむずかしく、これに替わるものとして現在免疫療法が注目されています。小児外科部長の渕本教授は、慶應義塾大学と共同研究(「免疫チェックポイント蛋白を標的とした小児がん腫瘍幹細胞・微小転移細胞の増殖抑制」文部科学省研究補助金基盤B)を進め、ある程度の基礎的な結果を出しています。

外来医師担当表

曜日 午前 午後
渕本 担当医
田中 担当医
渕本 担当医
木村
担当医
【特記事項】
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  • ※担当医師が変更となる場合や診療を休止する場合があります。お電話でお問い合わせください。

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