脳神経外科
頭部外傷
頭部外傷の急性期治療からリハビリテーション、そして外来診療まで一貫した診療体制を整備し、患者様を社会復帰までサポートします。
1.軽症から重症頭部外傷まで適切な治療で社会復帰へ
迅速に頭部CTによる検査を行い適切な対応により重症化を防ぎます。必要であればすぐに緊急手術を行います。術後は、神経モニタリングを用いた神経集中治療を行い考え得る最上の経過を目指します。急性期の治療後も、リハビリテーションや再生医療、外来診療を長期間行い、高次脳機能障害も含めて患者様の社会復帰を支援いたします。
2.高齢者頭部外傷
高齢者は、脳萎縮により頭蓋骨と脳の間に広い隙間ができるので、軽い頭部打撲でも出血を生じやすく、直後では症状が現れにくいので見逃されることがあります。その結果、重症化した後に病院へ搬送され後遺症を残します。このような経過を防ぐため、当院では軽症であっても積極的に患者様を受け入れます。また、血液バイオマーカーによる頭部外傷の補助診断を併用しながら、積極的に頭部CT撮影を行います。さらに、高齢者になると、抗血栓薬(血液サラサラの薬)を飲まれる方が多くなり、軽症の方でも重症化する割合が増加します。その予防策として、抗血栓薬の中和薬(お薬の効果を抑える薬)を積極的に使用し症状の悪化を防ぎます。
3.小児頭部外傷
小児、特に赤ちゃんは昨日できなかったことが今日できるくらいに毎日発達していきます。そのため昨日寝返りを打てなかったから今日も打たないということはありません。ご家族のちょっとしたお気遣いで防げる外傷もたくさんあります。
小さなお子さんは大人と比較して頭が大きく、重心が高い位置にあります。また運動機能も未熟であるため転倒しやすいのはイメージできると思います。また頭蓋骨も成人と比較して薄いのですが、逆にやわらかいため成人のように頭蓋骨の粉砕骨折は見られにくく、陥没するような骨折が見られることがあります。これをピンポン玉骨折と呼びます。赤ちゃんの脳は発達して大きくなりますから場合によっては手術をせず脳が自然に陥没を改善させることもあります。手術が必要な場合は小さく皮膚を切開し頭蓋骨の下に器具を入れしかたら押し上げるような修復方法もあります。
左の図は鉗子分娩の際に生じた頭蓋骨骨折です。右が術後の画像ですが小さな隙間から器具を入れ頭蓋骨を下から持ち上げて修復しています。
また乳幼児が転倒して頭部を打撲した場合、脳を包む硬膜の下に髄液もしくは血液が貯留する硬膜下水腫、硬膜下血腫が生じることがありますので定期検診で頭囲拡大が見られたら再度脳外科を受診し精査する必要があります。
スポーツ脳震盪
スポーツ脳振盪とは、スポーツに関連して頭部、顔面、頚部等、身体のどこかに強い衝撃が加わり脳の機能が障害される状態をさします。スポーツ脳振盪の症状は、意識消失のみでなく記憶力障害や失見当識、反応時間の低下、易刺激性、平衡感覚障害、頭痛やめまい、睡眠障害など多彩な症状を示します。多くは、受傷後早期に生じ時間経過とともに自然回復しますが、まれに数分~数時間かけて症状が進行することや、長期にわたり残存することがあります。スポーツ脳振盪は一般的な画像検査において形態的な異常を認めません。様々な症状から総合的に判断します。そのため、非医療従事者が現場で判断することが困難であるため、一般の方でも評価ができるように、SCAT (Sports Concussion Assessment Tool) を使用します。脳振盪と判断されたら、受傷した時点でプレーを中断し、当日のプレー復帰は禁止です。脳振盪に精通した医療スタッフの指示を仰ぎながら休養を取ることが重要となります。症状が残ったまま競技復帰した場合、再度脳振盪を起こすリスクは3~5.8倍に上昇するとされており、脳振盪を繰り返すことによりさらに回復が遅れ、恒久的な後遺症を残すこともあります。競技復帰に際しては、段階的競技復帰プログラムに沿って、約1週間以上のプロセスを経て競技復帰が許可されます。
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