診療科・部門のご案内

脊椎脊髄センター

代表的疾患

びまん性特発性骨増殖症

どんな病気?

せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。腰椎は主に5つの骨と、間にあるクッションのような椎間板、また神経組織が通っている脊柱管から成り立っています。びまん性特発性骨増殖症とは、前縦靭帯を中心に骨化が広範に起こることで、本来個々に動くべき脊椎が4つ以上くっついてしまう病気です。肥満や糖尿病などの生活習慣病との関連が指摘されており、近年増加傾向にあります。

症状

体幹の柔軟性が失われたり、転倒により骨折を生じやすいことがあります。非常に不安定性が強い骨折となったり、軽微な転倒後の数ヶ月後に神経障害を生じたりすることがあるので注意が必要です。

検査方法

脊椎や靭帯などの骨化の程度や、骨折の有無を判断するためにX線検査やCT検査、MRI検査を行う場合があります。骨折の有無は、X線検査のみでは診断が難しいことも少なくありません。また、生活習慣病との関連が指摘されているため、手足の血流や動脈硬化の有無を評価するため両手足の血圧を測ったり、骨脆弱性を評価するために骨密度検査を行うことがあります。

治療方法

生活習慣病との関連が指摘されているため、減量や糖尿病のコントロールをお勧めします。骨折を生じた場合には、コルセットによる装具治療で骨癒合(骨がくっつく)が得られることもありますが、放置した場合に偽関節(骨がくっつかない)や将来的な神経障害を生じやすいため、不安定性が強い場合などには、手術治療を考慮します。手術では一般に固定術が必要となります。当センターでは、適応をよく検討した上で、なるべく負担の少ない手術法を取り入れています。

びまん性特発性骨増殖症に対する低侵襲手術には以下の種類があります。

骨粗鬆症性椎体骨折

どんな病気?

せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。腰椎は主に5つの骨と、間にあるクッションのような椎間板、また神経組織が通っている脊柱管から成り立っています。骨粗鬆症性椎体骨折は、骨脆弱性のため脊椎が骨折してしまう病気で、骨粗鬆症のある高齢女性に多く見られます。尻もちなど軽微な転倒で発生することが多いですが、くしゃみ程度でも生じることがあり、約半数ははっきりとした原因が不明なためいつの間にか骨折とも言われています。

症状

腰や背部に痛みが生じます。非常に強い痛みになることもありますが、さほど強い痛みにならない時もあります。骨折すると椎体が変形し脊柱管内に突出すると、神経を圧迫するため下肢(殿部、大腿部、下腿、足など)に放散する痛みやしびれ、足に力が入らない(麻痺)、また排尿や排便に障害(膀胱直腸障害)が出たりすることがあります。

検査方法

骨の脆さを評価するため、骨密度検査を行います。せぼねの変形や椎間板の傷み具合、すべりや不安定性の程度、脊柱管の狭さ、またせぼね全体のバランスなどを見るためにX線検査やCT検査、MRI検査なども行います。進行例では脊柱管の狭さをより詳しく評価するために入院して脊髄造影検査や、同時にどの神経が痛みの原因となっているかを明らかにするために神経の枝に直接麻酔薬を注入する選択的神経根ブロックを行う場合があります。成人期では血管性の下肢の痛みがないか評価するために両手足の血圧を測ることもあります。

治療方法

コルセットや安静、疼痛コントロールなどの保存治療が基本です。3カ月程度で骨癒合(骨がくっつく)し、次第に痛みも改善します。痛みが軽度〜中等度の場合には外来通院が可能です。痛みが強く歩行が困難な場合には、入院治療が必要になることがあります。足の力が入りづらくなったり(麻痺)、排尿や排便に障害(膀胱直腸障害)が出たりした場合、早期離床をめざす場合、あるいは骨折の治りが悪い時には手術治療が考慮されます。低侵襲手術として、つぶれた骨にセメントや人工骨を補填する椎体形成術があります。不十分な場合には、金属性のスクリューなどで脊椎を固定し安定化させる方法もあります。

骨粗鬆症性椎体骨折に対する低侵襲手術には以下の種類があります。

頚椎症性脊髄症・神経根症・頚椎椎間板ヘルニア

どんな病気?

せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。腰椎は主に5つの骨と、間にあるクッションのような椎間板、また神経組織が通っている脊柱管から成り立っています。頚部の神経組織は、脊髄と枝分かれする神経根から構成されています。頚椎症性脊髄症は、骨の変形や椎間板の膨隆、あるいは不安定性などにより、頚椎の脊柱管の狭小化が生じることで頚髄が圧迫される病気です。脊柱管が比較的狭い日本人は欧米人に比べて発症しやすい特徴があります。また、頚椎症性神経根症は椎間板の膨隆や骨棘(骨のトゲ)によって神経根が圧迫される病気です。

症状

局所の症状として、頚部や背部の痛み、また肩こりなどの症状が出やすいです。脊髄が障害されると、手指の巧緻運動障害(箸が持ちづらい、字が書きづらい、ボタンが上手くはめられない)、痙性歩行(ふらつき・つまずきやすい・歩行がぎこちない)、膀胱直腸障害(頻尿・残尿感)などの症状が生じます。神経根が障害された場合には、どちらか一方の腕や肩甲骨の裏側に放散する痛みやしびれ、力が入りにくいといった症状が生じます。

検査方法

せぼねの変形や椎間板の傷み具合、すべりや不安定性の有無、脊髄の圧迫の程度、またせぼね全体のバランスなどを見るためにX線検査やCT検査、MRI検査などを行います。進行例では脊柱管の狭さをより詳しく評価するために入院して脊髄造影検査を行う場合があります。どの神経が痛みの原因となっているかを明らかにするため、あるいは除痛目的に神経根に直接麻酔薬を注入する選択的神経根ブロックを行う場合もあります。成人期では血管性のしびれがないか評価するために両手足の血圧を測ったり、骨粗鬆症の有無を評価するために骨密度検査を行うこともあります。

治療方法

頚部痛などの局所症状に対しては、鎮痛薬やビタミン製剤などの内服、カラー、リハビリテーションなどの保存治療で経過をみます。保存治療で十分な効果が得られない場合、あるいは手足の力が入りづらい(麻痺)、歩行が不安定、また排尿や排便に障害(膀胱直腸障害)がある場合などには手術治療を考慮します。神経根症では頑強な疼痛の持続や、麻痺が進行性であれば手術治療を考慮します。重度の脊髄障害は、不可逆的になり回復が困難となることがあるため、早急な外科的治療を要することがあります。

頚椎症性脊髄症・神経根症・頚椎椎間板ヘルニアに対する低侵襲手術には以下の種類があります。

後縦靱帯骨化症、黄色靱帯骨化症

どんな病気?

せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。腰椎は主に5つの骨と、間にあるクッションのような椎間板、また神経組織が通っている脊柱管から成り立っています。後縦靱帯骨化症は椎体の後面で脊髄の前にある後縦靱帯が骨化する病気で、黄色靭帯骨化症は脊髄の後ろにある黄色靭帯が骨化する病気で、頚椎が最も発症頻度が高いですが、胸椎や腰椎にも起こり得ます。いずれも根本的な治療法がないことから、厚生労働省難治性疾患克服研究事業の対象疾患に指定されています。白人に比べて東アジアや日本人に多く、頚椎後縦靱帯骨化症は本邦で約3%、男女比はおおよそ2:1ですが、全身性の骨化では女性に多いことが知られています。家族内発症もあることから遺伝的関与の可能性、そのほか肥満や糖尿病との関連も指摘されています。

症状

後縦靱帯の骨化や黄色靭帯の骨化があるからといって、必ずしも神経障害が出るわけではありません。但し、骨化のタイプや大きさによっては、発症や進行をしやすいことがあり、特に転倒による急激な悪化には注意が必要です。局所の症状として、頚部や背部の痛み、また肩こりなどの症状が生じます。脊髄が障害されると、手指の巧緻運動障害(箸が持ちづらい、字が書きづらい、ボタンが上手くはめられない)、痙性歩行(ふらつき・つまずきやすい・歩行がぎこちない)、膀胱直腸障害(頻尿・残尿感)などの症状が生じます。

検査方法

骨化のタイプや大きさ、不安定性の有無、脊髄の圧迫具合、またせぼね全体のバランスなどを見るためにX線検査やCT検査、MRI検査などを行います。進行例では脊柱管の狭さをより詳しく評価するために入院して脊髄造影検査を行う場合があります。成人期では血管性のしびれがないか評価するために両手足の血圧を測ったり、骨粗鬆症の有無を評価するために骨密度検査を行うこともあります。

治療方法

肥満や糖尿病がある方は、減量や糖尿病のコントロールをお勧めします。頚部痛などの局所症状に対しては、鎮痛薬やビタミン製剤などの内服、カラー、リハビリテーションなどの保存治療で経過をみます。保存治療で十分な効果が得られない場合、あるいは手足の力が入りづらい(麻痺)、歩行が不安定、また排尿や排便に障害(膀胱直腸障害)がある場合などには手術治療を考慮します。重度の脊髄障害は、不可逆的になり回復が困難となることがあるため、早急な外科的治療を要することがあります。

後縦靭帯骨化症・黄色靭帯骨化症に対する低侵襲手術には以下の種類があります。

 

脊椎腫瘍

どんな病気?

脊椎腫瘍はいわゆる脊椎(せぼね)にできる腫瘍です。原発性脊椎腫瘍と転移性脊椎腫瘍(がんなどの転移)に分類されます。原発性脊椎腫瘍は種類も豊富で若い方からお年寄りの方までの幅広い年齢層にみられますが、頻度は高くありません。転移性脊椎腫瘍は、中・高齢者に多い傾向にあります。肺がん、乳がん、前立腺がん、胃がん、甲状腺がん、腎細胞がんなどが頻度の高い原発巣です。発生部位により頚椎、胸椎、腰椎、仙骨腫瘍に分類されます。

症状

脊椎腫瘍では腫瘍によって骨が壊されることで脊椎の支持性(体を支える機能)が失われることにより症状がみられ、初期症状では、体を動かした時に生じる腰背部痛などがあります。そして、腫瘍が増大することで脊髄が圧迫され神経麻痺症状が出現することが多く、腰椎腫瘍では下肢痛やしびれが発症することで、腰椎椎間板ヘルニア脊柱管狭窄症と誤診されることもあります。

検査方法

近年では画像診断法の進歩により、脊椎・脊髄疾患領域においては非侵襲性かつ迅速な画像診断が可能となっています。一般に単純X線検査、CT検査、MRI検査、脊髄造影検査、各種核医学検査、PETなどが施行されます。特にMRIは腫瘍の局在などの詳細な情報が得られ、臨床上、不可欠な検査となっております。

甲状腺がんの第5頚椎転移の症例
治療方法

脊椎腫瘍に対する治療は様々ですが、原因となっている腫瘍に対する治療が最も重要となります。従って、原因となる腫瘍を治療する主科と整形外科との密接な連携が重要となります。近年では分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬等の薬により、これまで良い治療成績を得るまた、ことが困難であった腫瘍に対しても、長期の予後が期待できるようになって来ています。その中で、脊椎への転移は麻痺や疼痛のために生活の質を著しく悪化させる可能性がある疾患です。そこで、脊椎への転移への治療は原因となっている腫瘍に対する十分は治療の継続を前提としながら、放射線治療や骨修飾薬の組み合わせが中心となります。しかし、脊椎の骨破壊が著しく、脊椎の不安性性により疼痛が強い場合や、脊髄を腫瘍が圧迫する(または可能性が高い)場合には手術を行い、術後にその他の治療を組み合わせて治療を進めていく場合があります。

脊椎腫瘍に対する手術には以下の種類があります。