側弯症そくわんしょう外来について

側弯症には主に思春期の小児の方に多くみられる「特発性側弯症」と、成人後に発症する「成人脊柱変形」があります。
当院では日米両国の側弯症学会のメンバーを含む3人の専門医が治療を担当し、外来日は毎週水曜日の午後、第2、4金曜日と第3土曜日の午前です。
側弯症などの脊柱の変形でお困りの方は、ぜひ「側弯症外来」までご相談ください。

担当医のご紹介

八木 満
八木 満 (やぎ・みつる)
YAGI Mitsuru

整形外科部長、脊椎脊髄センター長
国際医療福祉大学 医学部 整形外科学教授(代表)

日本側弯症学会会員
国際委員会委員
米国Scoliosis Research Society (SRS) アクティブメンバー
2021-2022年 SRS 研究費審査委員会委員長
2023-2024年 SRS 成人脊柱変形委員会委員長
2023-2024年 SRS プログラム委員会委員長
International Spine Study Group メンバー
日本、米国、ガーナ共和国などで特発性側弯症や重度脊柱変形などに対して豊富な治療経験を有する。
江幡 重人
江幡 重人 (えばた・しげと)
EBATA Shigeto

脊椎脊髄センター部長
国際医療福祉大学 医学部教授
日本側弯症学会会員

日本専門医機構認定整形外科専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医/脊椎内視下手術・技術認定医
日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄指導医
ほか
船尾 陽生
船尾 陽生 (ふなお・はるき)
FUNAO Haruki

国際医療福祉大学 医学部准教授
日本側弯症学会会員

米国Scoliosis Research Society (SRS) アクティブメンバー
2018-2019年 IMASTプログラム委員会委員
2022-2023年 IMASTプログラム委員会委員
2022-2023年 SRS 研究費審査委員会委員

外来医師担当表

曜日 担当医
毎週水曜日・午後 八木 満、船尾 陽生
第2・4金曜日 江幡 重人
第3土曜日・午前 八木 満

側弯症について

子どもの側弯症
詳細はこちら
どんな病気?
せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。正常な状態では脊椎は正面から見ると真っ直ぐです。一方側弯症では正面から見た時に椎体がねじれ(回旋)を伴いながら、脊椎が左右に曲がっている状態です。側弯症の発生頻度は、装具治療の対象となる20-30度度以上の側弯症はおおよそ0.3~0.5%と報告されています。手術が必要な可能性が出てくる40度以上の側弯はおおよそ0.1%です。

側弯症のX線

原因
こどもの側弯症には様々な原因があります。一番頻度の高いものは特発性側弯症です。特発性とは「原因が現時点で不明である」という意味です。特発性側弯症の原因を世界中で研究されていますが、今のところはっきりとした原因は分かっておりません。特に思春期の女児に多いことがわかっています。そのほかの側弯症として脊髄などの中枢神経の異常に伴う側弯症(神経原性側弯)、筋肉の疾患に伴う側弯症(筋原性側弯症)、椎体の変形による側弯(先天性側弯)、そのほかマルファン症候群などの結合組織の異常に伴った側弯症など、様々な側弯症の原因が分かっております。
症状
側弯症では脊柱が曲がってくるため、以下のような外見状の変化が生じる場合があります。
  1. 肩の高さの非対称
  2. 腰のくびれの非対称
  3. 骨盤の傾き
  4. 肩甲骨部の背中の出っ張り
特に最も多い胸椎が右に弯曲する側弯症ではアダムステストと呼ばれる体幹を前に屈めるテストを行うと、右の背中が盛り上がります。痛みや機能の障害を伴うことは比較的稀です。
治療方法
こどもの側弯症の治療法は側弯の程度に応じて以下のように分けられます。
  1. 経過観察
    3-12ヶ月毎にX線を撮影して側弯の進行を確認します。このような場合はカーブの大きさがコブ角で25度以下の軽度の側弯症の場合です。
  2. 装具治療
    骨成熟前(おおよそ14-15歳以下)でコブ角が25度前後の場合に開始します。装具は、初期には一日中着用します。おおよそ16歳前後まで着用します。装具治療開始後は3-4ヶ月毎にレントゲンを撮り、カーブの進行の有無を確認します。装具は個人ごとに最も側弯の矯正に見合った形に型取りをしてオーダーメイドで作成します。近年の米国での信頼性の高い研究でも長時間の装具の着用が側弯症の進行の予防に効果的であることが報告されています。
  3. 手術療法
    手術の最大の目的は側弯の進行の予防です。進行の確率は、10~12歳の場合、コブ角30度以上の側弯では約90%の確率で、コブ角60度以上の側弯の場合は100%の確率で進行します。仮に重度の側弯症になった場合、疼痛や整容的な問題にとどまらず、肺機能の低下(息切れ)が生じます。これは脊柱の変形によって肺が圧迫されるためです。骨の成長終了後(18-20歳以上)もコブ角が40度を超えた側弯症は年間0.5~1度程度の進行があるといわれております。成長終了後の側弯症では、今後の側弯の進行の可能性と手術の危険性などを主治医と相談して、手術を受けるかどうか決めたほうが良いと考えられています。
おとなの側弯症
詳細はこちら
どんな病気?
おとなの側弯症には主にせぼねの加齢による変形が原因となる変性側弯症と子供の頃からせぼねの変形があり、成人後に進行した特発性側弯症の成人期遺残があります。変性側弯症と症状は腰痛から始まることが多いのですが、変形した組織が神経を圧迫すると下肢の痛みや筋力低下などの神経症状が進行することもあります。特発性側弯症の成人期遺残では症状は全くない場合もありますが、軽度の腰痛や背中の痛みがある場合が多いです。いずれの側弯症でも変形が進行すると体幹のバランスを保てなくなり、杖などの支えが必要な状態となります。
おとなの側弯症
おとなの後弯症
原因
変性側弯症は椎間板や椎間関節といった脊椎の組織が変性することや、骨折による変形などにより脊椎が大きく弯曲してくる状態のことです。もともと特発性側弯症などがあり、そこから進行する患者様もいますが、多くの場合は加齢そのものが原因です。特発性側弯症の原因は現時点では明らかではありませんが、遺伝的な原因や遺伝子の変異が影響していることが最近わかってきました。
検査方法
せぼね全体のバランスや変形の進行を見るための数ヶ月おきに立位でのX線検査やCT検査、MRI検査に加えて、進行例では脊髄の圧迫をより詳しく評価するために入院して脊髄造影検査を行う場合があります。同時にどの神経が痛みの原因となっているかを明らかにするために神経の枝に直接麻酔薬を注入する選択的神経根ブロックを行う場合があります。また骨密度が低いと側弯症が進行する可能性があるため、骨密度検査を行う場合があります。
治療方法
症状が軽度であればコルセット、運動療法、痛み止めなどの対症療法が中心になりますが、進行例では手術が必要になります。手術は変形を矯正するのであれば、金属のインプラントを用いてせぼねの固定をおこなう必要があります。そのため変性側弯症の手術は患者様への負担も大きく、高い専門性を求められる手術です。しかし最近では患者様の体への負担を軽減する方法が広まっており、高齢者の方でも手術治療の対象となってきました。

側弯症の代表的な手術

後方矯正固定術
詳細はこちら
後方矯正固定術
せなかを切開してチタンなどで作られた椎弓根スクリューをせぼねに挿入して、ロッドと呼ばれる金属のバーで固定して、せぼねの矯正と固定を行います。術後に手術部の安静を保つために装具を3-6ヶ月程度着用します。
せなかを切開する場合が多いですが、状態によっては側方経路腰椎椎体間固定術(Lateral Lumbar Interbody Fusion: LIF)や、経皮的椎弓根スクリュー(Percutaneous Pedicle Screw: PPS)をはじめとした体への負担を軽減する手法も取り入れられています。
手術時間は4時間程度で、入院期間はこどもの患者様で2週間程度、大人の患者様では2週間程度で場合によってはリハビリテーション病院へ転院をして頂き、さらにリハビリテーションを行います。

こどもの特発性側弯症に対する
後方矯正固定術

大人の側弯症に対する後方矯正固定術

骨切りを併用した後方矯正固定術
詳細はこちら
骨切りを併用した後方矯正固定術
せぼねの変形が大きかったり、再手術の場合には癒合してせぼねの骨切りを行い、再度矯正固定を行う場合があります。5時間前後の長時間の手術となります。入院期間は小児患者様で2週間程度、大人の患者様では3週間程度で場合によってはリハビリテーション病院へ転院をして頂き、さらにリハビリテーションを行います。

腰椎固定術後後弯に対する
椎体骨切り術を併用した後方矯正固定術

前方矯正固定術
詳細はこちら
前方矯正固定術
わき腹やおなかを切開してチタンなどで作られた椎体スクリューを背骨に挿入して、ロッドと呼ばれる金属のバーで固定して、せぼねの矯正と固定を行います。術後胸に胸腔ドレーンと呼ばれるドレーンを数日入れる場合があります。手術部の安静を保つために装具を3-6ヶ月程度着用します。
大人の患者様では3週間程度で場合によってはリハビリテーション病院へ転院をして頂き、さらにリハビリテーションを行います。
入院は小児患者様で2週間程度、大人の患者様では2週間程度で場合によってはリハビリテーション病院へ転院をして頂き、さらにリハビリテーションを行います。

こどもの特発性硬膜拡張症に伴う
後側弯症に対する後方矯正固定術

前方後方矯正固定術
詳細はこちら
前方後方矯正固定術
背骨が大きく変形している場合や再手術の際に前方手術と後方手術を両方行って、せぼねの矯正と固定を行います。1日で両方の手術を行う場合と2日間に分けて手術を行う場合があります。大人の患者様では3週間程度で場合によってはリハビリテーション病院へ転院をして頂き、さらにリハビリテーションを行います。

成人期遺残特発性側弯症に対する
前・後方矯正固定術

成人脊柱変形に対するLIFを併用した
前方後方矯正固定術

重度脊柱変形に対する矯正固定術
詳細はこちら
重度脊柱変形に対する矯正固定術
さまざまなお体の病気に伴いせぼねが重度に変形を起こし、息切れなどの症状が出る場合があります。これらの患者様に対しては状況に応じて、せぼねを矯正固定する場合があります。小児科やリハビリテーション科と相談しながら手術時間や入院期間を検討していきます。

脊髄性筋萎縮症の重度後側弯症に対する
後方矯正固定術

グローイングロッド手術
詳細はこちら
グローイングロッド手術
せぼねの変形が進行して矯正固定術を要すると考えられるが、体がまだ小さなこどものお子様にはせぼねを固定せずに6ヶ月に1度の30分程度の小さな手術を繰り返すことで、せぼねを成長させる手術を選択する場合があります。概ね10歳以下で手術が必要な患者様が対象となります。

点状軟骨異形成症に伴う後側弯症に
対するグローインロッド手術

お問い合わせ

TEL:0476-35-5576
(予約センター)

月曜日~土曜日 8:30~17:30 
※日曜・祝日は除く